蝶が羽を広げているかのような優美な印象の胡蝶蘭。大輪でお祝いの贈り物というイメージが強い胡蝶蘭ですが、花の大きさやカラーも多く、花持ちも良いので切り花として楽しむのにもピッタリです。ちょっとの工夫で長持ちする胡蝶蘭の切り花。その方法や楽しみ方について見ていきましょう。
胡蝶蘭は切り花で楽しもう!
胡蝶蘭といえば鉢植えの印象を持つ方も多いと思いますが、切り花でも楽しむことができます。
華やかで優雅な胡蝶蘭の切り花
鉢植えに比べ、飾りつけの仕方が自由なので、1本だけ飾ったり他の花と合わせて楽しむこともできます。フラワーアートとしても人気ですので、贈り物にもピッタリです。 華やかな胡蝶蘭の切り花は自分のお部屋に飾るのはもちろん、プレゼントとしても喜ばれます。
そもそも切り花って?
そもそも切り花とは、お花の枝や茎から部分的に切り取った花のことです。普段の生活の中に切り花はたくさん存在しています。花束に使われているのも切り花ですし、花瓶に挿して飾るお花も切り花です。生け花に使われる花材も切り花の一種です。
胡蝶蘭は切り花として楽しむのにもピッタリ
胡蝶蘭は花もちがよいことから切り花としてもぴったりのお花です。他のお花は1週間ほどで枯れてしまうものもありますが、胡蝶蘭は2~3週間、美しい姿を楽しむことができます。
また「幸せが飛んでくる」という素敵な花言葉からもフラワーアレンジメントや花束で人気の花材ですので、ギフトとしても喜んでもらえるでしょう。
こんなにある!胡蝶蘭の切り花のアレンジ
日常生活から結婚式などの式典など、様々なシーンで胡蝶蘭の切り花は活躍します。どんなアレンジがあるか、見ていきましょう。
花束・ブーケ
胡蝶蘭の美しさと、白い胡蝶蘭の「純潔」という花言葉が花嫁にぴったりということから、結婚式のブーケに胡蝶蘭を選ぶ人が増えています。
ウェディングドレスはもちろんですが、凛とした佇まいは和装にもよく合いますよね。半円型で可愛らしい印象のラウンドから、縦長のシルエットが大人っぽい雰囲気のキャスケードまで、アレンジの方法は様々です。和装ではボール型もよく見られます。
フラワーアレンジメント
西洋風の生け花ともいえるフラワーアレンジメントでは、吸水スポンジに花を挿して華やかに飾り付けます。 大輪の胡蝶蘭を使えばメインの花材として、中輪や小輪の胡蝶蘭はサブの花材として活躍します。どちらも豪華な印象を与えてくれますので、お祝いのシーンにぴったりです。
ドライフラワー
ナチュラルな風合いが楽しめるドライフラワーですが、胡蝶蘭も実はドライフラワーにもできるのをご存知でしょうか。 胡蝶蘭のドライフラワーを作るのは難しいとされていますが、シリカゲルを使うことで色合いを強く残すことができるようです。大輪よりも花が崩れにくい中輪・小輪の方が向いているようですので、興味のある方はぜひチャレンジしてみてください。 できたドライフラワーはボックスに入れてギフトにしたり、ガラスに入れてハーバリウム風に楽しむことができます。
プリザーブドフラワー
生花と見間違えるような鮮やかな色合いが楽しめるプリザーブドフラワーも近年人気が高まっています。
「ドライフラワーとは何がちがうの?」と思う方も多いと思いますが、作り方や楽しめる期間が全く違います。 ドライフラワーは吊るしたり、シリカゲルを使って乾燥させることで手軽に作ることができます。草花の色味が落ち、乾燥した固めの質感です。ナチュラルテイスト、カントリーテイストのインテリアに合うでしょう。楽しめる期間は3ヵ月から半年ほどです。
一方、プリザーブドフラワーは、生花から水分を抜き、特殊な液体に浸して作りますので、少々手間がかかります。色味はそのまま残すこともできますが、染料で染めることもできるので、生花にはない色合いを作ることもできます。生花に似た質感で、長ければ数年楽しむことができます。
胡蝶蘭のプリザーブドフラワーでは、流通量が多くない青色を楽しむこともできます。長く残るギフトとして、記念日などに喜ばれるでしょう。
生花の髪飾りやコサージュ
ブーケ同様、花嫁の髪飾りとしても胡蝶蘭は人気です。大輪の胡蝶蘭を低めの位置において大人っぽい雰囲気にしたり、中輪の胡蝶蘭を高めに飾ることで可愛らしい印象を作ることができます。 また、胡蝶蘭が持つ厳かな雰囲気はコンサートや講演会などのシーンでコサージュとしても利用することができます。生花のみずみずしい美しさも素敵ですし、ドライフラワーを使えば優しい雰囲気に仕上がるでしょう。
胡蝶蘭の切り花、値段はどれくらい?
ちょっと高そうなイメージの胡蝶蘭ですが、切り花はいくらで購入できるのでしょうか?
胡蝶蘭の切り花の相場は?
相場は、中輪(ミディ)サイズで1,000円程~、大輪で2,000円程~となっており、鉢植えと同じように、サイズが大きくなるほど、値段も高くなるようです。加えて、花の色の珍しさも値段に影響することが予想されます。例えば、鉢植えでは流通量の少ない青系の胡蝶蘭は切り花でも、他の色と比べて割高になるでしょう。
切り花を購入できるWebサイトでは1色あたり5本から購入が可能なところがありましたよ! 1本だけほしい、という方はお花屋さんでしたら花材としておいているところがあるかもしれませんので、探してみてくださいね!
胡蝶蘭の花束の相場は?
1本あたりが1,000~2,000円するものですので、花束も本数分は料金がかかると思って間違いないでしょう。 ギフトボックス入りの5本入り胡蝶蘭が7,000円程で販売されているものもありましたので、ラッピングの方法によっても値段が上下しそうです。
かんたんな一手間で胡蝶蘭の切り花は長もちする
鉢植えでも長く楽しめる胡蝶蘭ですが、切り花でも長く楽しむことができます。一手間を加えるだけですので、面倒に思わずに試してみてくださいね!
育て方次第で1ヵ月以上持つ胡蝶蘭の切り花
胡蝶蘭の切り花を長持ちさせるためには、できるだけ涼しいところに飾るようにしましょう。 切り花を長持ちさせるには、植物から水分を失わせないことが大切です。 水替えは冬場の寒い時期では数日に一度でも大丈夫といわれていますが、できるだけ毎日行った方が鮮度のあるお花を楽しめるでしょう。
胡蝶蘭の切り花をかんたんに長持ちさせる方法
花束をいただいたら、まずはリボンや包装紙をとき、切り口についているジェルまたは水の入ったキャップを外します。 花瓶に活ける前には切り口を1cmほど切ります。水の中では茎はどんどん腐ってしまいますので、できたら毎日の水替えのタイミングで少しずつ切ってあげると、水を良く吸っていきいきとしたお花が長持ちします。このとき、強く茎を握ってしまうと、手の温かさで胡蝶蘭が傷んでしまいますので、そっと手を添える程度にしましょう。 保存剤がついてくることもありますので、花瓶に活けるときにぜひ使ってください。水替えの頻度を少なくすることができます。
胡蝶蘭の場合はあまり多くないかもしれませんが、葉がついていると、葉から水分が蒸発してしまいお花が枯れやすくなってしまいます。多すぎる葉はいける前に取り除きましょう。
本格的な「水揚げ」で胡蝶蘭の切り花の日持ちが断然良くなる
前にご紹介した一手間でも、胡蝶蘭の切り花を長く楽しめますが、水揚げをすることで日持ちがより長くなります。 水揚げとは、お花に再度水を吸わせることです。どんな方法があるか、見ていきましょう。
まずは「水切り」をしましょう
水とハサミを用意するだけでかんたんにできるのが水切りです。 水を入れた容器に胡蝶蘭の茎を入れ、ハサミで茎をななめに切るだけです。茎には水を吸い上げる管(導管)があるのですが、斜めに切ることで水に触れる面積が増え、水をより吸収しやすくなります。
なぜ水の中で茎を切るのが良いのかというと、空気中で切った時にはどうしても導管に空気が入ってしまい、水を吸い上げるときに邪魔になってしまいます。水の中で切ることで空気が導管に入り込むことを防ぎ、すぐに水を吸収できるようになるのです。
茎をつぶすように切ってしまうと導管もつぶれてしまい、水を吸い上げられなくなってしまいます。切れ味のよいハサミでスパッと切りましょう。
「切り口を焼く」とより効果的
水切りをしても元気が戻らないときには、切り口を焼いてみましょう。火を使うのでやけどにはくれぐれも注意してくださいね! 用意するものは、水を入れた容器、ガスコンロまたはライター、新聞紙です。
まず初めに、水切りをします。 次に、茎以外の部分を新聞紙で包み、熱から守ります。 花が傷まないよう斜めにしながら、茎が黒く炭化するまで焼きます。焼いた後はすぐに水につけ、水揚げをします。
こうすることで、導管にある水が膨張し、水を押し上げるので、水に戻したとき勢いよく水を吸収してくれる、というわけです。切り口から雑菌が入ることもあるので、焼くことで殺菌する効果もあります。
花がしおれたら「湯上げ」をしてみる
切り口を焼く方法以外には、湯上げというやり方もあります。 用意するものは、水を入れた容器、沸騰したお湯、新聞紙です。
まず初めに水切りをします。 次に、切り口を焼いたときと同じように、茎以外の部分を新聞紙で包み、熱から守ります。 鍋などでお湯を沸かし、沸騰させます。沸騰させたままのところに、茎を5cmほど付けます。この時に湯気でやけどしないように、またお花を熱気に当てないように、斜めに入れます。 10~20秒お湯につけたら、すぐに水を入れた容器に茎を入れ、水揚げをします。茎は変色しますが問題ありません。
これも切り口を焼くことと同様に、導管の中の水を膨張させ、水を勢いよく吸い戻す効果があります。お花だけなく、水を吸い上げにくい枝物でもできる方法ですので、花束などで胡蝶蘭と枝物をアレンジしたものをいただいた場合は、枝物も一緒に湯上げすることもできます。
胡蝶蘭の切り花を楽しむためのポイント
胡蝶蘭の切り花は一輪挿しも楽しめますが、花束などでもらうことも多いでしょう。 では、胡蝶蘭の切り花を楽しむには、自宅でどのような準備をすればよいでしょうか?
胡蝶蘭を飾る前の準備をしっかりしよう
まず胡蝶蘭を飾る場所を考えましょう。切り花は暑さに弱いので、涼しいところに飾ると長持ちします。 胡蝶蘭の原産地は熱帯雨林です。なので、湿度が高いところの方が向いているといえます。エアコンの風などは乾燥しますので、直接当たらないように工夫しましょう。
涼しいところといっても、冬場は暖かく、湿度を保った場所に飾りましょう。原産地からも想像できるように、胡蝶蘭は寒さには強くありません。玄関など、外気に近い部分では花が枯れてしまいますので、気をつけてください。
胡蝶蘭を生ける花瓶や花器はどうすれば良い?
胡蝶蘭を飾る専用の花瓶や花器はありませんので、好きなものを買ったり、おしゃれなデザインの瓶を使って飾ってみましょう。 ガラスの花器であれば涼しげな印象になりますし、陶器のものは色味・素材によって高級感を感じさせたり、暖かみを感じさせてくれるでしょう。 少し深みのあるお皿に水を張って、胡蝶蘭のお花を浮かべるのも、リゾート感がでていいかもしれないですね!
胡蝶蘭の切り花をキレイに飾るための注意点
胡蝶蘭といえば、白い大輪のお花が定番ですが、キレイな状態を保つためには花びらが折れたり、他のものとぶつからないように注意しましょう。比較的肉厚な花びらですが、すれただけでもキズができてしまいます。 こうした心配がある場合は、比較的傷みにくい中輪や小輪の胡蝶蘭を選んだり、色の濃い種類を選ぶとキズがあまり目立たないでしょう。
花が立派なので、思い通りにデザインできない、という場合には吸水スポンジを使ってみましょう。吸水スポンジは生け花の乾山のような役割をしてくれますので、思うままにお花を生けられますよ。
胡蝶蘭の切り花を素敵にアレンジ!具体的な飾り方
では、具体的にどのようなアレンジがあるか見ていきましょう。胡蝶蘭にはグラデーションがかかった花びらの種類も多いですから、色のアクセントをうまく活用していきましょう。
グリーン1種類があればオシャレに飾れる
胡蝶蘭1本とグリーンを合わせるだけでおしゃれにアレンジすることができます。おすすめは存在感のあるヤマシダです。 長めのヤマシダと短めにカットした胡蝶蘭を、丸い形の花器に活けると爽やかなイメージに仕上がるでしょう。
デンファレとロンググリーンで縦長のアレンジ
切り花としてよく使われるデンファレはレインボーファンなどのロンググリーンと合わせて縦長のアレンジを楽しみましょう。 デンファレをレインボーファンに通すだけで緑とお花のカーテンができます。レインボーファンは強度があるので、お花を通して飾ってもちぎれません。風に揺られて涼しげなので、夏場に向いたアレンジですね。
南国系の大葉と合わせてトロピカルな雰囲気に
モンステラはエキゾチックな魅力がありますので、南国をイメージした低めの花器に活けるとバランスがとれそうです。こちらも夏にぴったりのアレンジです。 モンステラはハワイのモチーフとして覚えている方も多いと思いますが、胡蝶蘭を合わせることでよりトロピカルな雰囲気を演出してくれます。
料理やお菓子皿のアクセントにも
凛とした美しさの胡蝶蘭ですから、お料理のわきに一つお花を添えるだけでぐっと高級感が増します。大輪の胡蝶蘭も素敵ですが、中輪の色味の強い胡蝶蘭を和菓子のそばに添えるとより和のムードが高まります。
まとめ
胡蝶蘭の切り花は長持ちするので、花束でもらったときはそのまま花器に活けて楽しみ、その後に一輪挿しや他のお花とのアレンジ、花が少なくなってきたらお皿に浮かべるなど様々な楽しみ方があります。
胡蝶蘭が自宅に着たら、長持ちするように水揚げを行ってあげましょう。元気がなくなってきたら、湯揚げなどの方法にもチャレンジしてみてくださいね。
「幸せが飛んでくる」という素敵な花言葉からもギフトとしても人気の胡蝶蘭。どなたかにプレゼントするときにも、お世話の仕方や、アレンジの方法を一緒に伝えてあげるとより喜んでいただけるでしょう。